資金調達ノウハウ

信用保証制度の見直し案について

2017.01.15

多くの中小企業が活用している信用保証制度ですが、

現在、見直しが検討されております。

 

昨年の12月26日に経済産業省にて、

「中小企業政策審議会基本問題小委員会」が開催され、

「中小企業・小規模事業者の事業の発展を支える持続可能な信用補完制度の確立に向けて」

と題した内容が公表されました。

 

これで、ほぼ信用保証制度の見直しの概要が決まったと言えるでしょう。

 

今後は、中小企業信用保険法改正案などを通常国会に提出する方向性とのことです。

 

この見直しの背景には、信用保証制度がこのままでは破綻してしまう、
という懸念があります。

 

日本の信用保証への依存は、ある意味、世界一だと言えるそうです。

今回の見直しは、「ライフステージに応じた対応の在り方」
という視点にて、検討がされています。

 

必要な時期には、信用保証制度を使って、
拡大期には、プロパーの比重を増やすようにして、
信用保証への依存度を低めようとする思惑でしょう。

 

イメージとしては以下の通りです。

 

<創業期>
・事業リスクの判定が困難となる創業時の資金供給を可能
・100%保証を維持しつつ、必要となる措置について検討を進めることが有効

 

<拡大期>
・保証協会と金融機関の連携(リスクシェア)を通じた中小企業の経営改善・生産性向上
・成長とともに信用保証への依存度を下げて一定程度のプロパー融資を確保する
・最終的には信用保証からの卒業を目指すことが望ましい

 

<持続的発展>
・小規模事業者向けの資金繰り支援拡充
・自己資金・担保力に乏しく突発的事態に対して脆弱な小規模事業者の持続的発展を
 一層頑健なものとするべく、小口向け100%保証の拡充について検討を進めることが有効

 

<事業承継時>
・後継者が株式取得等に必要となる資金を円滑に調達できるよう、必要な措置をとる

 

<危機時>
・5号認定以外は、引き続き、別枠・100%保証の措置により支援を行うことが有効
・5号認定にはついては、保証割合等の必要な見直しが必要
・大規模な経済危機等に対して、新たなセーフティネット制度を整備する(別枠・100%保証)。

 

<再生期>
・経営改善・事業再生の促進→保証メニューの検討
・再チャレンジ支援→保証制度の運用見直し
・円滑な撤退支援→撤退時の資金調達支援

 

今回の見直しには、以上のようなステージ別の利用の仕方についての議論があり、
前回に説明した方向性が示されています。

 

 

以下、もう少し簡潔にまとめてみます。

 

<大前提>

責任共有制度の80%は継続する。
しかしながら、今後も議論は続けていく。

 

<具体的な見直し>

1.保証付き融資を活用する場合は、プロパー融資を組み合わせる!

 

2.大規模経済危機に対応する「セーフティネット制度」を新設する。

 

3.五号認定セーフティネット保証の保証割合を80%とする。
  (これまでは100%だった。)

 

4.小規模事業者向けの100%保証の限度額を
  1,250万円から2,000万円まで拡充する。

 

5.創業者が100 %保証を受けられる限度額を
  1,000万円から2,000万円まで拡充する。

 

6.事業承継時に、後継者が会社の株式を取得するために必要となる資金や
  経営者が事業からの撤退を決断する場合に必要な資金を信用保証の対象とする。

 

7.上記の1、2、3に関して、事業性評価のノウハウ蓄積ができずに
  対応できない金融機関が取引先の場合は、保証協会が他の金融機関を
  紹介する機能を強化する。またその機能を周知徹底させる。
  (最終的には、日本公庫に繋ぐことも視野に入れている。)

 

8.経営者保証に関するガイドラインの運用を強化すべく、
  保証協会における運用の見直しを行う。

 

今年から大きな動きが本格的になりそうです。
皆さんも是非注目してください。