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 資金調達 融資 と新会社法について(H18年1月)

 私の専門は、銀行融資、公的融資、助成金等の“資金調達”ですが、いわゆる「新会社法」についてもよく質問されます。まあ、それなりには回答させて頂いておりますが、私もあまりよくわからない・・・というのが本音です。

 詳しい法律の詳細は顧問の税理士さんや公認会計士さんに聞くのがよろしいのではないかと思います。

 さて、私がご説明したいのは、「新会社法と資金調達(融資、助成金)」という議題です。新会社法が企業の資金調達(融資、助成金)に何かしらの影響を与えるものか?ということですね。

 果たして、これ、どうなんでしょうか?

 結論を言うと、「新会社法と資金調達(融資、助成金)」は、直接的にはあまり関係ないように思われます。私は日頃よく銀行に融資の交渉しに行ってます。そのついでに・・・というわけではないですが、「新会社法って、融資に何かしら関係しますか?」と質問すると、

 ・「うーん、融資と・・・あまり関係ないと思います。。。」
 ・「会社法・・・? 新・・・? あっ、新会社法ね。まあ・・・
  どうなんだろう・・・うーん、よくわからないなあ・・・。」


という回答が返ってきます。

 恐らく「新会社法」のことを知らなかったのでしょう・・・。

 よって、一見するとあまり関係ないように思われます。しかし、本当にそうなんでしょうか・・・? 私なりの見解を示してみます。

 ところで「新会社法」の内容をご存知ですか? 知らない方は検索エンジンで「新会社法」を調べてみて下さい。多くのHPがあります。皆さん、分かりやすく説明してくださっています。もしよく知らない方は以下のHPをご覧下さい。お勧めです。

    →インブルームLLPのホームページ

 ここでは、融資、助成金などの資金調達と関係ありそうな(?)項目だけを拾って、それに対して私なりに言及させていただきます。


1.有限会社が廃止され、株式会社に一本化
 「新会社によって、融資による資金調達が受けやすくなるようだ・・・」という話を聞きました。ちょっと驚きです・・・。何を根拠にそうなるのでしょうか。まあ、きっとこういうことでしょう。

 新会社法によって、有限会社がなくなり「株式会社」だけになります。よく勘違いされてますが、「有限会社より、株式会社の方が信頼性が高いから融資等による資金調達をしやすい」と思われている方がいらっしゃるようです。確かに、100%間違いだとは言いませんが、要は、その会社の実績(決算書)ですよ。零細企業の場合、それが最も重要です。

 よって、新会社によって皆、株式会社になるから、融資などの資金調達だって・・・なんてあり得ません。そんな噂は信じちゃいけませんよ。これは次の「2.最低資本金制度が廃止」にも繋がります・・・。


2.最低資本金制度が廃止
 最低資本金制度が廃止です! 株式会社は1000万円、有限会社は300万円という縛りですね。つまり、いわゆる「1円会社(確認会社)」でなくても、1000万円なくても株式会社が作れる、ということです。例えば100万円でも株式会社が作れるということになります。そこで、先ほどの話を思い出して下さい。

  「有限会社より、株式会社の方が信頼性が高いから融資などの資金調達をしやすい」

ってやつです。

「そうか! 1000万円なくても、100万円で株式会社が作れるぞ。信頼性の高い株式会社を作って銀行に融資を申し込もう! これで融資が受けやすくなる・・・」

って思われた方・・・残念。

 例え、最低資本金制度が廃止されても、100万円の株式会社と1000万円の株式会社では、そりゃ「1000万円」の方が銀行だっていいに決まっている。この銀行とは特に国民生活金融公庫なんかが顕著ですよ。

 自己資金が十分にあって、株式会社を立ち上げた創業者と、自己資金は少ないけど、株式会社を作った創業者を比較してみて下さい。両方とも株式会社には変わりありませんが、中身が違う・・・。この点を忘れちゃいけません。

 そうそう、確認会社の制度が出来たとき、こういう方がいました。現金で1000万円以上もっているのにもかかわらず、1円で株式会社を作りました。それで国民生活金融公庫に融資の申し込みに行ったんです。それりゃ、国金さんは「あなたお金ないの?自己資金は?」と聞きますよ。「1円の会社にお金なんか貸せないよ」と思うのは当然でしょう。それで、「いいえ、自己資金はありますが・・・」と回答したところ、「それじゃ、どうして1円で会社作ったの?」と言われたそうです。

 そうです・・・。お金の無い人に、銀行はお金を貸してくれません。確認会社の意義なんてあまり関係ないことなのです。日本人は、「銀行はお金の無い人にお金を貸すところだ」と思っている方がいますが、これは大きな間違いです。

 だって、あなたが他人にお金を貸すときに、お金を持っている友人から借金を頼まれたらまあ、気軽に貸せるでしょ。だけど、借金まみれの友人から「頼むから、いくらでもいいのでお金を貸してくれ!」と言われたら、「これで貸したらもう返ってこないだろうなあ」と思うでしょ? これは銀行も同じなんです・・・。

 100万円で会社を作ったとしても、資金調達が楽になるなんて思わないことです。銀行は、100万円の株式会社より、たとえ個人でも自己資金1000万円のお金を持っている個人事業主の方がお金を貸しやすいのです。残念!!


3.合同会社(日本版LLC)制度が創設。
 対外的には社員全員が有限責任、体内的には組合的規律が適用される「合同会社」制度創設。このLLCで創業して、融資で資金調達をするとしましょう。今後、どのように銀行が判断するのかはわかりませんが、これも、これまでにご説明したように、要は中身です!!

 NPO法人が資金繰りに苦しんでいるそうですが、これは銀行がお金を貸せないからだ、という意見があります。だけど、NPO法人にお金を貸せないのは当然です。だって収益が出ていない団体になんかお金は貸せないですよ。銀行はボランティアではありません。返済の見込みがない相手にどうしてお金が貸せるのでしょうか?! たとえNPO法人だって収益がなければお金はどこも貸してくれませんよ・・・。

 だから、LLCも同じでしょうね。LLCだってお金をバンバン稼いでいれば、融資による資金調達も可能でしょうが、稼ぎがほとんどなければこれもNPOと同じです。

 この点も勘違いの無いように。
(こういう質問を何回か受けたことがありました・・・。)


4.今、話題のLLPと資金調達・・・
 今、話題のLLPですが、これも資金調達ができるかどうか・・・?実際は、難しいのが現状だと思います。これは法人ではなく“組合”です。組合だからダメということではなくて、LLPの実態がどうか?ということも重要になるようでしょう。

 よく、巷では、「銀行からの融資も制度上は可能」、「政府系金融機関でも融資は可能である」と言われているようです。これは経済産業省が意見を公表しているんですね。また政府系金融機関の融資による貸し出しの方向性については、平成18年1月7日の日本経済新聞で記事を読んだ方もいらっしゃることでしょう。制度上は可能になるようです。しかし、だからと言って、LLPで申し込んで、融資をしてもらえる、ということではありません。当然、審査があります。厳しい対応になることは必然です・・・。

 今後とも、状況をしっかりと見極めたいですね。


5.取締役は1人でOK
 新会社法では、余計な役員を置かなくてよくなります。これが何か融資や助成金による資金調達に関係あるのか? うーん、あまり関係ないかもしれません・・・。

 だけどこういうケースがあります。余計な役員を置いている中小企業は結構あります。こういう役員にも、報酬を支払っている義理深い社長もいるのです。そういう余計な出費が減るから、多少なりとも営業利益が増えるかな・・・? そうすると格付けに影響してくるかも・・・。

 それと、これまでは何人かの役員を登記していました。他の役員が、過去に金融事故を起こしていたり、個人情報がちょっときれいでない・・・というような方がいたとします。そうするとその役員が原因で融資を受けれなかったりするケースもあります。よって、そういうことを気にせずにお気楽に一人役員で会社を設立することができます。

ちょっと無理のある展開か・・・!


6.会計参与制度の創設
 計算書類の信頼性を向上するため、会計専門家が取締役と共同して計算書類の作成を行う「会計参与制度」を導入。つまり、税理士さん、公認会計士さんが会計参与になることができます。

 これも直接は資金調達には関係ないでしょう。しかし、いわゆる“格付け”に詳しい税理士さんが会計参与になって、より深くその企業に関わりを持ち、格付け向上のために、日々がんばってくれれば、きっと資金繰り(又は「融資」)に良い影響を与えることでしょう。まあ、経営者がどう考えるかですね。「あまり深く税理士さんには関わって欲しくない」と思う社長さんだって少なくないはず・・・。そういう問題だってあります。

 それと、「会計参与」という立場は、「顧問税理士」という立場より、その責任の重さも全然違うような気がするのですが、どうなんでしょうか・・・。だから、そう簡単に税理士さんも会計参与にはならないような気もするのですが、どうなんでしょうかね・・・。

 しかし、これだけは言えます!

 力のある税理士さんが会計参与になってくれれば、銀行対策には好影響であることには間違いありません。

 「先生!!是非、中小企業の見方になってあげてください!」


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